R_OMの日記

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1ヶ月でフォースは覚醒できるのか ④

これでとりあえず旧6作は一周したのですが、正直この程度の煮え切らないテンションではSWの魅力の本質を掴んだとはいえず、心のライトセイバーも半勃起状態、これではいかん!と自分を奮いたたせ、今度はオリジナル3部作をBlu-ray特典であるスタッフの音声解説付きで鑑賞してみることにしました。

 

文中の内容とは関係ないが、韓国のアイドルグループEXOのSTAR WARS公式コラボレーション曲「LIGHTSABER」。ライトセーバーの刃は最後に一瞬しか映らない。

 

結論からいうと、この読みが大当たり。これはテレビで放送されていたSWを観てピンとこなかった人たちにもオススメしたいです。各タイトル毎に2バージョンの音声解説が付いてるのですが、今回はジョージ・ルーカスキャリー・フィッシャーアービン・カーシュナー(自身が監督した『帝国の逆襲』のみ参加)、ベン・バートデニス・ミューレンによるバージョンを再生。制作の裏話や思い出話*1、ルーカスの弁解等々、その内容の面白さもさることながら、ここで特に注目すべき点は、この関係者が入れ替わり立ち替わりSWについて色々喋っているのを聴いてるうちに、作品自体がみるみるうちに面白くなっていくことでした。SWについて語ることが、SWの作品世界の描ききれなかった部分を補強していく様子が実感できたのです。

 

唐突に結論めいたことを言いますが、これがSWの魅力の本質だったのでしょう。そんなに多くはないですが他作品の音声解説も聴いたことはあります。そういったものの多くがより深く作品を知るために機能していることは知っていますが、ここまで作品への評価を劇的に変化させたものは初めてでした。これは音声解説自体が優れているという話ではなく、おそらく作品と音声解説の相性が良かったのではないでしょうか。あと、SWには歴史があります。作品自体は観てなくてもSWを完全に避けて生きて行くことが不可能に近いこの世界を生きる、SWとほぼ同世代である自分には約30年の間に積み重ねられてきた(おぼろげではありますが)SW知識がありました。その知識と音声解説で語られる関係者のSWに対する想いとが相互作用を起こし、SWとの間にあった時間的隔たりを一気に埋めてくれたのです。まるで眠っていた作品が目を覚ましたような、本当に新鮮な体験でした。

 

 ですが、音声解説は所詮ソフト化された際に付いた特典です。SWファンの中でも音声解説の内容を知らない人はたくさんいるでしょう。それに私が特に引っかかっていた時間的隔たりなど関係ないリアルタイム世代もいるでしょう。では彼らにとって音声解説にあたるものは何なのか。おそらく、SW好きの友人との会話や、二次創作といったものがそれにあたるのではないでしょうか。それこそタマフルでEP7公開までの半年間をかけて行われた月一連載企画:月刊『わたしのスターウォーズ』も多くのSWにとって音声解説的な役割を担ったはずです。私の場合は残念ながら放送時にまだSWを観てなかったので、その機能を生かしきれませんでしたが、観た後に聞き直してみるとやっぱり余計に面白い。SWのようにあらゆる角度から切り込んで語れる作品にとってはポジティブな意見に限らず、ネガティブなものでも見識を深めるのに大いに参考になりました。前回のプリクエルの感想を読んで頂ければわかるように、ネガティブなものこそ語り甲斐があるなんてもこともありますし(ファンの中にはプリクエルのことは触れるのも嫌だという人もいるでしょうが)。

 

あらゆる意見やファンによる二次創作物などを飲み込んで拡張するSWの世界は、自分から能動的に参入していくことで面白さを享受できる特性があるようです。SWに熱くなっている人々を遠くから眺めて「SWってそんなに熱くなるほど面白いかぁ?」なんて在り来たりな感想を抱いている人(まさに私自身がそうだった)には、ただ作品を観るだけではなく、あと何かしらアクションを起こしてみることをオススメします。アクションといっても大袈裟な話ではなく、SWに対しての感想を頭の中で整理してみるとか、グッズを買ってみるとかだけでも何かしら変化が起こるかもしれません。ここまでの流れでお気づきかもしれませんが、このブログの記事もそういったアクションのひとつなのです。

 

1ヶ月でフォースは覚醒できるのか ⑤ - TMOMの日記

 

*1:特にキャリー・フィッシャーのコメントが彼女本来のキャラクターが滲み出てくるような内容で最高。

1ヶ月でフォースは覚醒できるのか ③

続いて評判の悪いプリクエル3部作を鑑賞。公開当時プリクエルにあまり惹かれなかった理由はそのルックの悪さにあって、オリジナル3部作が爆発的人気を誇った大きな理由として特撮的質感や独創的なルックにあったのに対して、CGによるツルっとした質感で凡庸なプリクエル3部作のルックの悪さは致命的。今回初めてちゃんと観ましたが、その悪印象が覆るようなことはありませんでしたね。ただ、だからと言ってプリクエルが巷間言われるほど悪い作品かと言われれば、そこまでボロクソに叩かれるほど悪くないのではないか、というのが私の感想です。

 

SWファンから忌み嫌われているジャー・ジャー・ビンクスですら、そんなに嫌いになれないというか。確かにジャー・ジャーは死ぬほどイラつくキャラですが、人種(異星人やドロイドまで含め)、性別分け隔てなく共に暮らす「共和」を理想に掲げるSWの世界では「ジャー・ジャー・ビンクスのようなやつとでも手を取り合って平和な世界を築いていかねばならない」というのはSW世界の創造主ジョージ・ルーカスによる託宣であるのだから、真のSWファンであることを自認するならば、むしろ率先してジャー・ジャーを擁護すべきなのではないかと思うのですが、それでも多くのSWファンがそれを拒否しているということはなかなか興味深いポイントでもあります。

 

そのあたりのファンとルーカスの対立構造はドキュメンタリー映画『ピープル vs ジョージ・ルーカス』で確認できますが、やはりプリクエルの問題(ミディ=クロリアンの存在などもありますが…)はルーカス自身の存在が作品の中で前景化してしまったことにあるのは明白です。ですが、私がプリクエルに対して比較的肯定的な立場をとる理由は、作品に蔓延するそのルーカスの作家としての切実なる承認欲求を否定することができないことにあります。オリジナルは連続活劇を意識して作ったものなのだから、子供向け映画といった批判がどうであろうと大ヒットした時点である程度目標は達成できたはずなのですが、やっぱりドラマとしてクオリティの高いものをつくって認められたいという作家としての欲求は抑えきれなかったのでしょう。権威的な父との確執から自身をルーク・スカイウォーカーに重ねていたオリジナルから、自身がダース・ベイダー化していく様とアナキン・スカイウォーカーがダーク・サイドに堕ちていく様を重ね合わせたプリクエルへという流れに関しては散々語り尽くされていることでしょうが、プリクエルを観ていると単純にルーカスはそういった神話的モチーフを援用した重厚なドラマが作れることを証明して世間に認められたかったのだという風にしか見えませんでした。そのことは、自分の実力を周りが認めてくれないことに対するアナキンの苛立ちが、アナキン自身をダークサイドに傾かせる大きな理由であることからも窺い知ることができます。私はそういう作家自身が抱える病と向き合う作品が好きなので、プリクエルに対して肯定的な立場をとってしまいますが、これは批判や揶揄でもなく、そんなことは多くのSWファンにとってはどうでもいいことなのでしょう。このことはジャー・ジャーの件と同じように、SWの魅力の本質を知る手がかりになる要素のひとつだと思います。

 

私はこの時点で「SWとして1番面白いのはEP6、映画として1番面白いのはEP3」だと思っていました。ルーカスはプリクエルの制作で自身の願いをある程度叶えたとも言えるし、SWファンの存在を軽視した姿勢に取り返しのつかない大きな失敗を犯したとも言えて、このアンビバレントな要素が入り混じった様がプリクエル独自の味わいを醸し出しているように思います。私はプリクエル、嫌いじゃないですね。

 

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1ヶ月でフォースは覚醒できるのか ④ - TMOMの日記

 

 

1ヶ月でフォースは覚醒できるのか ②

とまぁ、大げさに言ってはみたものの、基本夏休みの宿題は8月末ギリギリにやるタイプの人間なので、前述のティーザーを観て即「12月の公開に向けて予習を始めるぞ!」とはならず、会話の内容がほとんど理解できないタマフルの「月刊 わたしのスターウォーズ」を聞いたりはしつつ、ダラダラと終わりなき日常を生きていたのですが、気づけばもう11月18日。『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』オープニング3日間の日本全国“同時刻”特別上映、座席指定チケット先行受付開始日じゃないですか!チケット争奪戦になることが予想されていたので、日付が18日になった0時頃「まぁ、行きつけの劇場でIMAX3D上映のチケットが取れたら観に行こうかな」と一応公開初日18時30分の最速上映回のチケットを目当てにチケット販売サイトを覗いてみたところ、全く繋がらない。多少時間が経ってサイトに繋がるようになっても、販売開始状態になってないので買えない。こうなると人間焦ってくるもので、急いでIMAX上映のない別の劇場の2D上映の最速回のページを開いてみたところ、ほとんどの席が埋まっているにも関わらず、何故か劇場中央ど真ん中の席が1席だけ空いている!おそらく誰かがキープ状態にして買えなかったものがキャンセルされた瞬間に立ち会ったと思われるのですが、この時点で冷静さを失ってるので「これはフォースのお導きに違いない」と混乱状態のまま、その座席のチケットを即購入。結局IMAXのチケットは朝になるまで買えなかったらしいですが、2Dで最初に観て面白かったら後日IMAX3Dで観るということでチケットに関するゴタゴタは切り上げて、12/18の上映のためにコンディションを整えることに気持ちを切り替えました。

 

SWファンだらけの公開初日最初の上映回にいても気後れしなくてもすむように、とりあえず最低限やっておくことは「SW旧作6本を観てSWの魅力の本質を掴む」ということになりますが、公開日まで1ヶ月の猶予があるとはいえ、ここからSWのことだけ考えて生活するなんてことは移り気な性格の自分には到底出来そうにもないので、自身に多少プレッシャーをかけるような意味で、ちょうどリリースされたばかりの「スター・ウォーズ コンプリート・サーガ ブルーレイコレクション(9枚組)」を思い切って購入。「コンプリートと銘打っておきながら、収録されているのは所詮『特別編』だろ?」という、うるさ型ファンの声が聞こえてきそうなところ耳を塞ぎ、まずは可能な限り細部にまで意識を集中しながらオリジナル3部作を鑑賞してみることにしました。

 

 

「まぁ、面白いっちゃ面白い。けど…」

 

これがオリジナル3部作を一回通して観た正直な感想です。前述したように、幼少時に断片的には観ているので、オチは知っているというか、話の流れはほとんど知ってるわけです。この後どうなる?といったハラハラ感が一切ないまま、記憶の断片と断片の間を繋いでいくような体験。『新たなる希望』(1977)のオープニングというか、SWサーガ全体のオープニングでもあるタトウィーンのシークエンスや、『ジェダイの帰還』(1983:公開時は『ジェダイの復讐』)でのジャバ・ザ・ハットとボバ・フェットのシークエンスなど、当然全く見覚えのない箇所もあったのですが、『帝国の逆襲』(1980)には見覚えのない映像が殆どなかったので、もしかしたら忘れてるだけで、本作だけは通して観ていたのかもしれないということに気づかされたりもしました。そんなこんなで、全ての記憶の断片が線で繋がったとしても、正直「SW最高!フォー!」となるような作品だとはとても思えませんでしたね。公開当時と現在では時間の隔たりがあまりに大きく、技術面や社会状況の違いなどにより、そのような反応になってしまったのかとも思いましたが、SWと同じように『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の公開に合わせて観た旧作1(1979)と2(1981)に関しては、時間的な隔たりがあまり気にならず「マッドマックス最高!フォー!」となったので、とりあえずここではオリジナル3部作に対する判断は保留にして先に進むことにしました。

 

1ヶ月でフォースは覚醒できるのか ③ - TMOMの日記

 

 

1ヶ月でフォースは覚醒できるのか ①

私、一応2015年は200本ぐらいの映画を観た(劇場で観たのはうち40本ぐらいですが)ので、映画ファンの端くれぐらい名乗っても石を投げられたりしないと思う者なのですが、正直な話、『スター・ウォーズ(以下SW)』は今の今までちゃんと観たことありませんでした。物心ついた頃には普通にテレビでオリジナル3部作が流れていましたが、断片的には観たことがあっても、頭から通して観た作品は一本もありませんでしたね。なまじ断片的だと、テレビから流れてくる、ダース・ベイダーがルークの○であるとか、レイアがルークの△であるとか、そういったネタバレの価値を理解せずに「へぇ~」なんてそのまま受け止めざるをえず、結果オチを知っているため改めてちゃんとSWを観ようという気にはなりませんでした。80年代のハリウッド大作モノにはそういった作品が結構ありますね。『ET』や『インディ・ジョーンズ』なんかはいまだにちゃんと観たことがありません。

99年公開の『ファントム・メナス』以降のプリクエル(前日譚)3部作に関しても、EP1のボトルキャップ・ブームには乗っかって多少集めたりしたのですが、何故かその勢いに乗って劇場に足を運ぶようなところまで行かず、EP2、3に関してはいつ公開になったのか全く記憶にない有様。結局自分の中でSW熱が盛り上がるようなことは一切ないまま、「え?スター・ウォーズの新作?興味ねぇなぁ」というノリで2015年のSWイヤーを迎えることとなったのです。

そんな自分も、さすがに今回の新作はヤバいことになりそうだという予兆を感じとったのはこのティーザーに対するSWファンの反応でした。

 

 

というか、このティーザーに対するSWファンの反応というのは端的に言ってコレのことです。

 

SWファンであるマシュー・マコノヒーによるティーザー・リアクション動画という体の、『インターステラー』の映像とSWティーザーの有名なマッシュアップ動画です。この動画がいかによく出来ているかは『インターステラー』を観れば一目瞭然だと思いますが、たとえ観ていなくてもグッと来てしまう人は多いはず。マシュー・マコノヒーの熱演につられ、SWの新作を待ち望んでいた人たちの気持ちに移入してしまい、SWを1本も観たことのない自分も思わず落涙。この動画の再生回数が1000万回をこえているのは、単純に動画のクオリティの高さが話題になったこともあるでしょうが、このマシュー・マコノヒーの反応に自らの反応を重ねたファンが再生回数を伸ばしていたことは間違いないでしょう。つまりこのマッシュアップされたティーザーには、すでにファンの歓喜を呼び起こす何らかの力が宿っていたのです。

ただ、私はここで思いました。「と言っても俺、SW1本も観てないし、SWファンがこのティーザーのどの部分に歓喜したのか実感として理解は出来ていないのだ」と。つまり私の流した涙は想像した感情の上で流した涙であって、本当の涙ではない。この時点で私は、神を前にして真の涙を流すことができない人間として多少の罪の意識すら感じていました。それが今は違います。これらの動画を前にして真の涙を流すことができる自分がいるのです。

  

1ヶ月でフォースは覚醒できるのか ② - TMOMの日記

 

 

2015年K-POPベスト

Twitterでツイートしたものをそのまま貼りつけただけなので、若干見づらいですがご容赦下さい。

 

2015年映画ベスト

1. マッドマックス 怒りのデス・ロード 

2. スター・ウォーズ/フォースの覚醒

3. バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)

4. 今は正しくあの時は間違い

5. 彼は秘密の女ともだち

6. マジック・マイクXXL

7. はじまりのうた

8. 黒衣の刺客

9. 真珠のボタン

10. 草原の実験

次点(ベスト邦画)ぼんとリンちゃん

 

 

1位 マッドマックス 怒りのデス・ロード

やはりブッチギリ。作品としての強度が違い過ぎる。2015年、1番胸を打ったショットは怒りに打ち震えるフュリオサの目のアップだった。IMAX3Dで2回、4DXで1回、極爆2Dで2回の計5回鑑賞。Blu-rayも当然買った。

 

 

2位 スター・ウォーズ/フォースの覚醒

スター・ウォーズ』に対する私のスタンスは別稿にて述べるが、自分が心から好きだと言えるエピソードが生まれたことの喜びからこの位置に。確かに映像的なフレッシュさはない(唯一驚いたのはブラスターのビームをフォースで静止させる表現)が、それはむしろ物語をきちんと語るということに本作が比重を置いたが故だと思っている。世界中の老若男女に受け入れられる物語を、という期待に対する計り知れないプレッシャーに打ち勝った製作陣に敬意を表したい。あと最優秀女優にレイ役のデイジー・リドリーを。今の彼女に対する気持ちで1番近いのはなんだろ、恋かな。

 

 

3位 バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)

別に1位でも良かったんだけど、まだ全てを飲み込みきれてないのでこの辺が妥当かなと。映像と音楽の融合という意味では今年No.1の地位は揺るがない。

 

 

4位 今は正しくあの時は間違い

東京国際映画祭で鑑賞。なので、正式公開次第で来年以降も本作がランクインする可能性あり。ホン・サンスの作品の中でも、特に清々しい気持ちで席を立てる傑作だと思う。これで彼の作品を4年連続ランクインさせてるので、今後1番好きな現役監督はホン・サンスと公言していくことに決めた。

 

 

5位 彼は秘密の女ともだち

フランソワ・オゾンって改めて上手いなぁと。物語をスムーズに進める手際の良さたるや。プロット自体もすこぶる面白い。ただ予告編には文句があって、本作は「女としての輝きを取り戻させる」ような作品ではないと思う。

 

 

6位 マジック・マイクXXL

2015年『マッドマックス 怒りのデス・ロード』と並んで真にフレッシュな作品は本作。男だとか女だとか、立場は色々あるだろうけど、みんなで楽しくやっていこうぜ!という「愛」に溢れた傑作。

 

 

7位 はじまりのうた

めちゃくちゃ感動したけど、これを1位にしてしまうのはさすがに無邪気過ぎる感じがして、自分には抵抗がありこの位置。ただベスト主題歌は問答無用で本作の「Lost Stars」。「菊地成孔の粋な夜電波『はじまりのうた』主題歌歌詞解説」回とあわせて聴いてもらいたい。

 

 

8位 黒衣の刺客

画力に圧倒される。それだけなのか?と問われれば、確かにそれだけかもしれないが、同時にそれだけで十分なのではないかとも思ってしまう。

 

 

9位 真珠のボタン

ドキュメンタリー映画という枠を越えた何か。同時公開された『光のノスタルジア』と合わせて、自分がラテン・アメリカ文化に惹かれる理由の一端に触れられた気がする。

 

 

10位 草原の実験

多くの人にとっての『海街diary広瀬すず枠にあたるのが、自分にとっての『草原の実験』エレーナ・アン。父は韓国人、母はロシア人、自身は韓国籍という演技経験のない美少女の貴重な瞬間が刻まれてしまっていることに最大の価値を置いている。なので、そういうタイプの観客以外には、特に教訓めいたことが示されるわけでもなく、ただポンとそこに置かれているというような物語の有り様に好みが分かれそう。

 

 

次点(ベスト邦画)ぼんとリンちゃん

2014年公開作、配信で鑑賞というイレギュラーな扱いでありながら、去年触れることが出来なかった以上、今本作をスルーすることは罪だろうと、些か強引ではあるがベスト邦画という枠で(『ハッピーアワー』は現時点ではまだ観れてない)。『海街diary』は傑作だと思うけど、どちらが自分の中で残る作品かと問われれば迷わずこちらをあげる。その差は「どちらの登場人物に実在感を感じるか」ということだと思う。